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住友商事株式会社 不動産SBU

不動産事業におけるカーボンニュートラル推進を、現場に根づくアクションへ―カーボンニュートラル戦略推進支援

  • カーボンニュートラル戦略推進

オフィスビル、商業施設、住宅、物流施設など、幅広いアセットを手がける住友商事の不動産SBU(Strategic Business Unit)。総合商社である住友商事の中で、同SBUは不動産の企画/開発・運営・売却を一気通貫で手掛ける総合デベロッパー機能を有し、国内外で幅広い事業を展開している。

近年、不動産業界では脱炭素に関する取り組みが急速に進展している。こうした事業環境の変化を受け、同SBUでは、2023年度にESGワーキンググループを立ち上げ、GHG排出量の現状把握や暫定目標の検討を開始した。さらに2024年度にはカーボンニュートラルワーキンググループへと発展させ、2025年度にかけてSBU横断での削減目標設定、アクションプランの検討を本格化させている。

 

今回、ワーキンググループの取り組みを牽引した担当者に、カーボンニュートラル戦略推進の背景や直面した課題、プロジェクトを通じて得られた成果、そして今後の展望についてお話を伺った。

住友商事株式会社 不動産SBU

住友商事株式会社 不動産SBUご担当者(写真左から、石橋チーム長、錦織主任)

住友商事株式会社 不動産SBU

都市総合開発グループ 不動産SBU 不動産企画戦略ユニット(※組織・役職は取材時点)

イノベーションチーム長 石橋 拓
経営企画チーム 兼 イノベーションチーム 主任 錦織 優介
  • 総合商社
  • 不動産
課題

建設時および運用時におけるGHG排出量削減施策を検討し、複数シナリオに基づく評価の上で、GHG削減目標を設定し、さらに目標達成のために実効性のあるアクションプランとして具体化する必要があった。また、検討した内容を各事業ユニットの現場に浸透させ、継続的にPDCAを回せる推進体制を構築する必要があった。

支援概要
  • 不動産事業の特性を踏まえたGHG算定ロジックの定義
  • 将来のシナリオを踏まえたGHG削減目標の設定
  • 省エネ法データおよびScope1‧2‧3算定データを一元管理するための運用フロー‧ファイルの整備
  • ワーキンググループの運営サポート
成果
  • 2035年度GHG削減目標の設定
  • 2035年度目標達成に向けた「ありたい姿・アクションプラン」の設定
  • 開示・保証対応を見据えた環境データ収集・管理体制の整備

課題

不動産事業におけるカーボンニュートラル推進を、いかに実効性のある取り組みに落とし込むか

 

住友商事の不動産SBUは、ビル、商業施設、住宅、物流施設など、多様なアセットを手がける総合デベロッパー機能を担っている。開発した固定資産を保有・賃貸する事業に加え、土地を取得し、建物を開発した上で収益不動産として投資家に売却する事業など、複数のビジネスモデルを有している。

 

SBUがカーボンニュートラルの取り組みを本格化させた背景には、不動産業界全体の変化があった。東証プライム上場企業に対するGHG排出量開示要求の強化や、大手デベロッパー各社がGHG削減目標を掲げ、ZEB・ZEHの推進、再生可能エネルギー導入などの取り組みを進めるなか、同SBUとしても、自社の事業特性に即した環境対応を進める必要性が高まっていた。「対応が後手に回ることに対する危機感が強かった。GHG排出量の可視化や削減施策を通じ不動産価値の向上につながる取り組みにしたいとも考えていた。」とワーキンググループのリーダーを務めた石橋チーム長は語る。 

 

特に課題だったのは、ワーキンググループでの検討を現場に根づかせることである。大人数のワーキンググループでは、役割が曖昧になると一部のメンバーが主体的に関与しづらくなる恐れがある。そのため、取組テーマごとの分科会を設け、各メンバーが何らかの形で検討に関われる体制を設計した。こうした巻き込みを通じて、将来的に各ユニットでアクションプランを設定し、PDCAを回していく「現場化」につなげる必要があった。

住友商事株式会社 不動産SBU 石橋チーム長

支援概要

算定ロジックの整理から社内合意形成、環境データ整備まで一気通貫で伴走

 

住友商事の不動産SBUでは、もともと商業施設や物流施設を対象としたGHG算定の取り組みが進められていた。GXコンシェルジュは同SBUに対して、不動産事業の特性を踏まえたGHG算定ロジックの整理、削減施策を踏まえた将来のGHG排出量を考慮した削減目標の検討、環境データを一元管理する詳細フローの作成、ワーキンググループおよび分科会の運営を伴走支援した。

 

ワーキンググループおよび分科会の運営・推進においては、議論事項が多岐にわたり、専門知見が不可欠であった。「専門性の高い分野においてGXコンシェルジュに論点整理を主導してもらえたことがプロジェクト推進上の大きな助けとなった。」と石橋チーム長は語る。

 

また、GHG算定ロジックの整理においては、不動産事業特有の論点を踏まえた整理が必要であった。「GHGプロトコルの考え方、不動産の保有スキーム、他社デベロッパーの動向、他業界の事例などについて整理した上で算定ロジックの整理を進めてもらえた。議論を前に進めていくにあたりとても助かった。」と、ワーキンググループの実務を推進した錦織主任は振り返る。

住友商事株式会社 不動産SBU 錦織主任

成果

規制対応から、事業競争力につながるカーボンニュートラル推進へ

 

本プロジェクトを通じて、不動産SBUではカーボンニュートラル推進に向け、削減目標やアクションプランに関する共通認識が醸成され、取り組み体制および環境データ収集基盤も整備された。GXコンシェルジュの支援を通じて、プロジェクト開始当初は専門知識が十分ではなかった領域についても、専門家との議論にも主体的に参加できるレベルまで理解が深まったと石橋チーム長は語る。

 

環境データ管理の面でも、今後のSSBJ基準への対応における算定業務の早期化を見据えた成果があった。同SBUは多数の物件を扱っており、収集すべきデータが多く、さらにはデータ収集に関与するステークホルダーは多岐にわたる。環境データを一元的に管理する枠組みを整え、対応工数の削減を実現したことには大きな意義があった。

 

こうした取り組みは、今後SSBJ基準等の開示対応が本格化するなかで、より重要性を増していく。さらに今後は、カーボンニュートラルの取り組みを単なる規制対応・開示対応にとどめるのではなく、将来的には不動産価値の向上や競争優位性の強化につなげることを見据えている。

 

石橋チーム長・錦織主任の両名は、「本取り組みはダウンサイドリスクの最小化や開示対応が中心であるものの、今後は総合商社の強みも活かし、経済的価値と環境社会的価値の両面から不動産価値の向上を図っていきたい。」と展望を語った。

住友商事・GXコンシェルジュの担当者(写真左から:GXコンシェルジュ 増井、小澤、住友商事 錦織主任、石橋チーム長)