導入実績

Case

京阪ホールディングス株式会社

情報開示・算定から削減まで─多角的な事業展開に対応するGX伴走支援

  • TCFD情報開示
  • GHG排出量算定

京阪ホールディングス株式会社は、鉄道をはじめとする交通事業を中心に、流通、不動産、レジャーなど多角的な事業を展開。地域に根ざした企業活動を通じて、持続可能な社会の実現を目指し、環境配慮型経営にも積極的に取り組んでいる。特に近年では、環境を長期経営戦略の主軸戦略のひとつと位置づけ、CO₂削減や再生可能エネルギーの活用などを推進。地域とともに未来を創る、環境にやさしい企業として進化を続けている。

 

今回は、経営企画室 経営戦略担当 部長の松谷氏と、同室 課長の岡田氏に、GX推進の背景や起点、そしてGXコンシェルジュとの取り組みについてお話を伺った。

京阪ホールディングス株式会社

京阪ホールディングス株式会社

経営企画室 経営戦略担当(サステナビリティ・BIOSTYLE)

部長 松谷 匠
課長 岡田 貴司
  • 運輸
  • 不動産
  • 流通
  • レジャー・サービス
課題

GXへの本格的な対応が急務となったが、社内に専門的な知見がまだ蓄積出来ていない中、GXの机上の知識を事業に具体的にどう当てはめるのか見えておらず、担当者にとって納得する成果が出ていなかった。

支援概要

鉄道業界の特性や事業領域の広さを理解した上で、TCFD・スコープ3排出量算定などの専門領域を丁寧にサポート。密なコミュニケーションと今後も参照しやすい形でのドキュメント整備など。

成果
  • 投資家に評価される形でのTCFDの開示拡充・スコープ3の算定・開示
  • ドキュメント整備など、再現性のある成果
  • GXコンシェルジュの伴走により、社内へのノウハウ蓄積

課題

GXへの本格的な対応が急務となったが、社内に専門的な知見がまだ蓄積出来ていない中、GXの机上の知識を各事業に具体的にどう当てはめるのか見えておらず、担当者にとって納得する成果が出ていなかった

脱炭素社会への機運の高まりを受け、GX(グリーントランスフォーメーション)への取り組みが経営課題として本格化。
政府のカーボンニュートラル宣言や投資家からのESG対応への要請を背景に、企業としての方向性を明確に示す必要性が高まっていた。

 

GX推進の起点となったのは、2022年5月に掲げた「2030年度までにCO₂排出量を46%削減(2013年度比)」という目標設定。
「他社より遅れたが、社内で出来ないことを約束して良いのかとの声もあり、2030年までの削減計画を社内で議論した上で設定した」と松谷氏は振り返る。この目標を基軸に、2023年には中期経営戦略の柱のひとつとして「地球環境の保全」が明記され、GXが経営戦略に正式に組み込まれることとなった。

 

最初の大きな課題は、東証プライム企業に義務付けられたTCFDへの対応。「当初はリスク評価やインパクト試算など、机上の知識をどう当てはめれば良いか自信がなく、納得感が十分得られないまま進めていることもあった。」と語る岡田氏。

 

支援概要

GXコンシェルジュ導入の決め手は、「伴走型の丁寧な対応による納得感」と「豊富な業界理解」の信頼感

 

GXコンシェルジュでは、下記2件のプロジェクトを支援させていただいた。

 

プロジェクト1:TCFD情報開示のスコープ拡大と財務インパクト開示

TCFDの初回開示では、対象とする事業は鉄道事業のみ、かつ定性評価のみに留まっていたところ、2回目の開示では、GXコンシェルジュの支援を通じて、鉄道事業に加えて不動産事業にもスコープを拡大、定量評価にも取り組み、財務インパクトを開示した。

 

プロジェクト2:GHG排出量のスコープ3算定

TCFD情報開示におけるGXコンシェルジュの対応に評価をいただき、支援を受託。2022年度・2023年度の2年分の算定を実施。

 

 

「初回の打ち合わせの時点で、対応が非常に丁寧だと感じた。鉄道業界の特性や事業領域の広さも理解されていて、こちらの課題に寄り添ってくれたことがとても印象的だった」と語る岡田氏。
実際にプロジェクトが始まると、「同社が抱える課題を理解した上で、伴走型で支援してくれる姿勢にとても安心感を持つことができ、GXに関する初歩的な質問にも意図を汲んで広く回答してくれた。誠実かつプロフェッショナルな対応が信頼感に繋がった」と岡田氏は振り返る。インタビューの場でも、終始和やかな雰囲気で当社コンサルタントとの関係性の良さが感じられた。

 

算定方針やロジックについても初期段階から密にコミュニケーションを取りながら丁寧に進めていくことで、納得感を持って答えを導き出すことができ、同社のノウハウ蓄積にもつながったという。

成果

納得感のあるアウトプットで社内外からの評価も向上

 

TCFDについては、鉄道事業に加え不動産業も開示したことや、財務インパクトを開示したことにより、意識の高い企業であるという印象を与え、投資家からの評価にもつながった。
「精緻に作り込んだことで、社外にも“しっかりやっている”という印象を与えられたのではないか」「スコープ3の開示も実現し、おかげさまでGXの課題を着実に進めることが出来た」と岡田氏は語る。

 

また、住友商事グループの総合力を活かし、非化石証書を仲介にて調達。京阪グループが京都で開発したSDGsをコンセプトとする施設のカーボンオフセット(スコープ2)を実現した。

 

 

守りと攻め、両面からのGX推進へ

最後に今後の展望について話を伺った。
「今後、サステナビリティの開示基準への対応が必要になるなど、開示面の課題はまだまだある。社内の情報集約にも改善の余地がある。当社の脱炭素に向けて本質的に重要なことを見極めながら進めていきたい」と岡田氏。
『「守りのGX」として地固めを進める一方で、「攻めのGX」も意識している』と松谷氏は語る。「今後もCO2の削減は進めていくが、脱炭素社会に向けて、鉄道・ビル・住宅・百貨店・ホテル等、多彩な事業を運営する我々が今後どのような価値を創造していくのか、大変大きなテーマだと思っている。外部の知見も取り入れて、視野を広く持って進めていきたい」と松谷氏は語る。

 

多角的に事業を展開しているからこその環境取り組みの難しさ。
そのような課題がある中で、GXコンシェルジュは京阪ホールディングス様にとって納得感があり、かつ社内外にも評価いただける形での情報開示・排出量算定・削減を支援させていただいた。
今後もGXコンシェルジュは、顧客課題に向き合い、コンサルティングから実現手段の提供まで一気通貫でサポートすることで、顧客の事業変革と企業価値向上に繋げていく。