導入実績

Case

中央日本土地建物グループ株式会社

GX推進を加速するパートナー:現状分析・情報開示をワンストップ支援

  • TCFD情報開示
  • 有価証券報告書での情報開示
  • GHG排出量算定
  • GXアドバイザリー

中央日本土地建物グループは、都市開発・賃貸・住宅分野を中心に、不動産ソリューション、資産運用、海外、建設、ゴルフなど多様な領域で事業を展開。「未来を共創する。」総合不動産グループとして、都市の発展と暮らしの質の向上への貢献とともに、持続可能なまちづくりの実現に向けた取り組みを推進している。近年では、GX(グリーントランスフォーメーション)を経営の重要テーマと位置づけ、GHG排出量の算定やTCFDをはじめとした情報開示に積極的に取り組むなど、環境配慮型経営を本格化。人と社会の未来に寄り添う、サステナブルな企業として進化を続けている。

 

今回は、GXの取り組みを牽引する経営企画部サステナビリティ推進室 室長の宮奥氏、次長の西村氏に、GX推進の背景や起点、そしてGXコンシェルジュとの取り組みについてお話を伺った。

中央日本土地建物グループ株式会社

中央日本土地建物グループとGXコンシェルジュの担当者(写真左から:GXコンシェルジュ 小澤・中央日本土地建物グループ 西村氏・宮奥氏・GXコンシェルジュ 寺崎)

中央日本土地建物グループ株式会社

経営企画部 サステナビリティ推進室 (※組織・役職は取材時点)

室長 宮奥 雅
次長 西村 善博
  • 不動産
課題

2022年にサステナビリティ基本方針を策定し、「自然環境との共生」をマテリアリティの1つとして掲げ、本格的なサステナビリティ活動を開始。GXに関する社内体制や知見が整っておらず、手探りでのスタート

支援概要
  • GHG排出量算定
  • 有価証券報告書およびホームページでのTCFD情報開示
  • その他GXに関するアドバイザリー
成果
  • 2020年の経営統合前の各社異なるGHG活動量データの管理状況を踏まえ、GHGプロトコルに準拠したGHG算定ロジックを構築。自社/グループ会社別・カテゴリ別の排出量算定による主要排出源の特定
  • 非上場企業でありながら、上場企業並みの水準で財務影響まで踏み込んだTCFD開示を実施。
    SSBJ対応も見据えた開示水準へ
  • 専門的アドバイスによるGX取り組みの高度化・効率化

課題

経営統合から始まった“手探り”のGX推進

中央日本土地建物グループは、旧日本土地建物と旧中央不動産両グループの経営統合により2020年に誕生。

2022年4月に持続可能な社会の実現に向けた戦略的取り組みとしてサステナビリティ基本方針を策定。「サステナビリティビジョン」と5つの「マテリアリティ(重要課題)」からなるサステナビリティ基本方針とともにサステナビリティ推進室を立ち上げ、本格的なGXへの取り組みをスタートした。

しかし、当初は社内に十分な知見がなく、明確な進め方やゴールが描けない状態だったという。
「当初はGXどころか、SDGsについての理解度も部門や個人間で千差万別で、“何から始めればいいのか”というところからの出発だった」と宮奥氏は振り返る。

中央日土地建物グループ株式会社 宮奥氏

 

加えて、GHG算定に必要となるデータも課題であった。統合前の会社ごとに管理されていた会計データやエネルギー使用量はフォーマットも粒度も異なり、どう整えれば良いのかが分からない状況だった。

「会社統合時はデータがバラバラだったので、統一的に集計・分析するには一工夫が必要だった。統合以降を対象に算定するにあたっても、元データを触りながら模索する日々だった」と西村氏は振り返る。

 

さらに、当時は経営層や現場の納得感を得ながら、全社的な推進体制を構築することも大きなテーマとなっていた。
「非上場企業として情報開示の義務はなかったものの、社会への責任に応えるには、やはり主体的に取り組まなければと考えていた」と宮奥氏は語る。

支援概要

GHG排出量算定、TCFD情報開示、その他GXに関するアドバイザリーなど幅広いテーマをサポート

 

GXの取り組みが本格化した初期フェーズより、GXコンシェルジュは継続的に伴走。

まずは統合後のバラバラなデータ状況に即し、会計データやエネルギー使用量など保有しているデータを活用したGHG排出量算定ロジックの構築を支援。スコープ12だけでなく、スコープ3についても実態やGHGプロトコルを踏まえた現実的な算定ロジックを提案し、社内での理解促進と定着を後押しした。

 

その後、有価証券報告書およびホームページにおけるTCFD提言に沿った気候関連情報開示対応にも本格的に着手。リスク・機会の特定、財務影響の定量評価、開示ストーリーの構築までを含む一連のプロセスを推進した。

「リスク・機会の定量評価まで踏み込んだ開示ができたことで、SSBJ基準にも先行して対応できる体制になった」と宮奥氏は振り返る。

 

また、GHG算定の高度化・効率化、業界最新情報の紹介、開示実務へのアドバイスなど、同社のフェーズや課題感に応じた柔軟なアドバイザリーを継続的に提供。

「対応期日までの期間が短い中で、課題感を理解し、スピーディーに進めてもらえたことに加え、GHG排出量算定に際してはシステム導入ありきではなく、今あるデータでできる方法を一緒に考えてもらえたのがありがたかった」と西村氏は語る。

 

中央日本土地建物グループ株式会社 西村氏

成果

情報開示がもたらした社外の信頼と社内の意識改革

 

高度な情報開示を実現したことで、社外からの信頼を獲得し、社内にもGX推進への意識が広がる結果に。

GHG算定やTCFD開示の取り組みによって、グリーンボンドやグリーンローンなどの資金調達において金融機関からも高い評価を獲得。

 

中央日本土地建物グループが保有する山中湖村・平塚の保有林の間伐材を用いたワークプレイス「NAKANIWA」

 

一方社内では、グループ全社で推進したサステナビリティレポート開示準備を通じて、全役職員一人ひとりのサステナビリティに対する意識の醸成が進み、GX推進は一部の部署の活動にとどまらず、全社的なテーマとして定着しつつある。

 

さらに、同社は現在、GXを「守り」と「攻め」の両輪で捉えた体制整備を進めている。守りのGXでは、スコープ13の排出量算定や情報開示体制の強化に加え、SSBJTNFDへの対応を見据えた準備を進行中。一方で攻めのGXとしては、環境配慮型の物件開発や自然共生プロジェクトなど、まちづくりにおける社会価値と事業性の両立を目指した取り組みを強化している。

GXは単に環境対応ではなく、企業の在り方を再構築する取り組み。そのためにも、社内全体が一丸となれるような基盤づくりを今後も進めていきたい」と西村氏は語る。

 

経営統合により、グループ一体として持続的に成長することを目指す中央日本土地建物グループにとって、GX推進は単なる制度対応にとどまらず、全社的な意識変革と実行体制の構築が問われる取り組みであった。

 

 

GXコンシェルジュは、制度義務の有無にかかわらず環境経営に真摯に取り組もうとする同社の姿勢に寄り添い、GHG排出量算定・TCFD開示から専門的なアドバイスを通じたGX取組み支援に至るまで、幅広い領域を支援した。結果として、金融機関をはじめとしたステークホルダーからの信頼と社内浸透の双方を実現する成果につながった。

今後もGXコンシェルジュは、クライアントごとのフェーズや経営課題に寄り添いながら、実務から企業価値向上まで一貫した支援を提供していく。